
- 14 :名無しさん 14/05/08 12:42 ID:Xt9Wr-HNk3
(・∀・)イイ!! (0) - 巨大な息子の部屋へ戸を開けて入っていくなり今はただ愚痴っぽいだけの生き物になってしまっている東十条の母が怒りの表情を向けてまず叱りつける。閉まったままの窓とカーテンを開けて空気を入れ替えながら東十条がどこへも出かけずにずっと引きこもり続けていることを苛立たしげに吐き出し続ける彼女はもう涙を流しはじめている。頭部を金属的に光らせた異形の息子は常に同じ表情のその顔で母親には眼も向けずPCの前に座ったままだ。掃除くらい自分でしなさいよと叫んだ東十条の母の叱責のことばが一拍の休止符もなしに不満へと変化する。わたしにこれほど心配させてどういうつもりなのかわたしに何も喋ってくれないのはわたしを馬鹿にしているからではないのかあんたのすることを見ているとそうとしか思えない。たったひとりの肉親で他には誰もいないのだから、わたしだってあんた以外に喋る相手はいないのだから、あんただってわたしに喋ってくれたってよさそうなものだ小さい時あんたにパソコンを買ってやったのはこのわたしなのだからそれを忘れないでもらいたいものだ。そういったことを表現を変えながら東十条の母は喋り続け、壊れかかった機械人形のようなぎこちない動作でPCのキーを叩き続ける東十条に尚も喋り続けながら冷えた料理を出してやる。息子はゆっくりした動作で料理を食べはじめ東十条の母はさすがに喋り疲れて息子の傍の床にへたり込み茫然とする。いつもと同じことを同じことばで同じ抑揚ですべて喋り尽してしまった自分が彼女はさすがに厭になり膝の上で痩せ細った両手を組みあわせ改めて不思議そうに息子を見つめる。彼女の眼は茶色っぽく丸く大きく若い頃の彼女の眼と同じだ。息子は彼女のその眼だけを受け継いでいるのだがそれは東十条の金属的に光る頭部の中であきらかに異質であり嵌めこまれた大きな石のようにも見え彼の無表情さを際立たせている。東十条の母は溜息をつき、いろいろな疑問や質問を息子に投げかけてみる。彼女が喋り続けているうち偶々息子の関心の範囲内にある事柄を的確に口にした場合だけ彼が答えてくれることを彼女は知っているのだ。「わたしたちはどうなるんだろうねえこんな世の中で。いいやこれはもう世の中なんてものじゃないねえ。ただわたしの僅かな年金でギリギリ食べ繋いでいくだけの一生なんだろうかね。そんなもの一生とも言えないんじゃないのかねえ。まあわたしは若い時に少しは楽しい思いもしたしあんたを育てることで生き甲斐も見
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