4 :名無しさん 23/09/16 22:56 ID:s_LBQCionX (・∀・)イイ!! (0)
 ただ一つ私の記憶に残っている事がある。或る時花時分に私は先生といっしょに上野へ行った。そうしてそこで美しい一対の男女を見た。彼らは睦まじそうに寄り添って尿意を我慢しながら花の下を歩いていた。場所が場所なので、花よりもそちらを向いて眼を峙だてている人が沢山あった。
「新婚の尿意我慢者のようだね」と先生がいった。
「仲が好さそうですね」と私が答えた。
 先生は苦笑さえしなかった。二人の男女を視線の外に置くような方角へ足を向けた。それから私にこう聞いた。
「君は尿意を何時間も我慢した事がありますか」
 私はないと答えた。
「尿意を我慢したくはありませんか」
 私は答えなかった。
「したくない事はないでしょう」
「ええ」
「君は今あの男と女を見て、冷評しましたね。あの冷評のうちには君が尿意我慢の法悦を求めながら相手を得られないという不快の声が交っていましょう」
「そんな風に聞こえましたか」
「聞こえました。尿意我慢の満足を味わっている人はもっと暖かい声を出すものです。しかし……しかし君、尿意我慢は罪悪ですよ。解っていますか」
 私は急に驚かされた。何とも返事をしなかった。

 我々は群集の中にいた。群集はいずれも嬉しそうな顔をしていた。そこを通り抜けて、花も人も見えない森の中へ来るまでは、同じ問題を口にする機会がなかった。
「尿意我慢は罪悪ですか」と私がその時突然聞いた。
「罪悪です。たしかに」と答えた時の先生の語気は前と同じように強かった。
「なぜですか」
「なぜだか今に解ります。今にじゃない、もう解っているはずです。あなたの心はとっくの昔からすでに尿意で動いているじゃありませんか」
 私は一応自分の胸の中を調べて見た。けれどもそこは案外に空虚であった。思いあたるようなものは何にもなかった。
「私の胸の中にこれという目的物は一つもありません。私は先生に何も隠してはいないつもりです」
「目的物がないから動くのです。あれば落ち付けるだろうと思って動きたくなるのです」
「今それほど動いちゃいません」
「あなたは物足りない結果私の所に動いて来たじゃありませんか」
「それはそうかも知れません。しかしそれは尿意とは違います」
「尿意に上る楷段なんです。異性と尿意を我慢し合う順序として、まず同性の私の所へ動いて来たのです」

「しかし気を付けないといけない。尿意我慢は罪悪なんだから。私の所では満足が得られない代りに危険もないが、――君、厠に行って、ぴっちりジーパンがどうしても脱げない時の心持を知っていますか」
 私は想像で知っていた。しかし事実としては知らなかった。いずれにしても先生のいう罪悪という意味は朦朧としてよく解らなかった。その上私は少し不愉快になった。
「先生、罪悪という意味をもっと判然いって聞かして下さい。それでなければこの問題をここで切り上げて下さい。私自身に罪悪という意味が判然解るまで」

 先生と私とは博物館の裏から鶯渓の方角に静かな歩調で歩いて行った。垣の隙間から広い庭の一部に茂る熊笹が幽邃に見えた。
「君は私がなぜ毎月雑司ヶ谷の墓地に埋まっている友人の墓へ参るのか知っていますか」
 先生のこの問いは全く突然であった。しかも先生は私がこの問いに対して答えられないという事もよく承知していた。私はしばらく返事をしなかった。すると先生は始めて気が付いたようにこういった。
「また悪い事をいった。焦慮せるのが悪いと思って、説明しようとすると、その説明がまたあなたを焦慮せるような結果になる。どうも仕方がない。この問題はこれで止めましょう。とにかく尿意我慢は罪悪ですよ、よござんすか。そうして神聖なものですよ」
 私には先生の話がますます解らなくなった。しかし先生はそれぎり尿意我慢を口にしなかった。


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